投稿日 2026.04.20
障がい福祉のデューデリジェンスで重点的にチェックされる書類
M&Aのプロセスにおいて、買い手が最も慎重になるのが「デューデリジェンス」です。これは、対象事業所の実態を詳細に調査し、リスクの有無を確認する作業です。障がい福祉事業の場合、実地指導と同等、あるいはそれ以上に厳しい「行政処分リスク」や「報酬返還リスク」のチェックが行われます。
具体的にどのような書類が重視されるのか、代表的なものを整理します。
目次
1. サービス管理責任者(サビ管)・児発管の要件書類
障がい福祉事業の継続において、最も重要なのが「資格者の配置」です。
- 実務経験証明書と研修修了証: サービス管理責任者(サビ管)や児童発達支援管理責任者(児発管)が、本当に要件を満たしているか。
- 欠員期間の有無: 過去に欠員があった際、適切に変更届を出しているか。もし欠員状態で報酬を100%受け取っていた場合、買収後に多額の返還を求められるリスク(人員欠如減算)となります。
2. 個別支援計画の一連のプロセス
「書類の不備」は、障がい福祉において即、返還請求の対象となります。
- アセスメント・計画案・モニタリング: 形式的に書類があるだけでなく、署名・捺印の漏れはないか、適切な日付で作成されているか。
- 個別支援会議の記録: 計画作成にあたり、関係者による会議が実際に行われているか。これらが欠けていると「個別支援計画未作成減算」として、売上の30%〜50%を過去に遡って返還しなければならないケースがあります。
3. 加算の算定根拠資料
「処遇改善加算」や「福祉専門職員配置等加算」など、上乗せ報酬の根拠は厳格にチェックされます。
- 賃金改善の実績: 処遇改善加算で得た収益が、適切に職員の給与として分配されているか。
- 出勤簿とシフト表の整合性: 配置基準を満たしていることを証明するための出勤簿と、実際に支払われている給与(賃金台帳)が一致しているか。
4. 虐待防止・身体拘束廃止への取り組み
近年の法改正により、これらの体制整備が義務化されました。
- 委員会の開催記録・指針の整備: これらが未整備の場合、基本報酬が減算される仕組みになっています。コンプライアンス意識の低さは、将来的な事故や訴訟リスクとして買い手に敬遠される大きな要因となります。
まとめ:DDは「健康診断」
譲渡側にとって、DDで大量の書類提出を求められるのは大きな負担ですが、これは事業所の「健康診断」でもあります。日頃から実地指導を意識した書類管理ができている事業所は、DDをスムーズに通過し、買い手からの高い信頼(=高評価)を勝ち取ることができます。